久しぶりにおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行った。
90歳越えの二人。
おじいちゃんは、子供の頃の薬の投与ミスで目が見えない。私のとっても自慢のおじいちゃん。今は引退したが、鍼の先生だった。
たくさんの事を知っていて、私の想い出の中では、地理をよく知っているおじいちゃん。
田舎に住んでいて、“どこの道が工事してる”とか、“どことどこが今度は繋がるから、○○へ行くには近くなる”など。子供心に、“おじいちゃん、凄いなぁ~”と、思っていたものだ。
何より、おじいちゃんの側は落ち着く場所だった。
おばあちゃんは、いつも優しかった。
旅行で田舎から一歩出ると、「何が何だか分からないから怖い」と言って、よく私にくっついていた。
かわいいおばあちゃん。
そんなおばあちゃんが、段々とボケてきた。
それに伴って、周りがバタバタしていたので、しばらく会う機会がなかった。
そして今日、私は久しぶりにおじいちゃんとおばあちゃんに会いに行った。
おばあちゃんはベッドに座っていた。
私はその隣に腰を掛けた。
私のことが分かるのか、分からないのか・・・
それでも、おばあちゃんは優しい顔をしていた。
そして私の膝にずっと手を置いて、じっと座っていた。
その手はとても冷たかった。
外は真夏のうだるような暑さ。
でも、おばあちゃんの手はひんやりと冷めていた。
私はその手を両手で挟んだ。
おばあちゃんの手を温めたかった。
時折発する言葉。何度も同じ言葉。
私の子供達に、
「大きくなったね」
そんなおばあちゃんの瞳は、昔と変わらず、優しさが溢れていた。
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