一ヶ月前、私は久しぶりに号泣した。
夫は、そんな私に
「大丈夫だよ。もういいから。」
そう言って、しっかりと抱きしめてくれた。
事の発端は、一枚のクレジットカードの紛失。
夫が、「電気屋のクレジットカードがない。どこにいったか知ってる?」
と聞いてきたことに始まった。
小さい頃から物をよく失くす私。
大人になっても物は失くすし、なんといっても記憶力が悪い。
子供にも、「ママは忘れん坊だから・・・」と言われている。
それでも何とかやっていたが、大切な物を失くすことも多く、
"しっかりした夫からしたら、私なんて信用できないよね・・・"
と、自分でも自分が嫌になる事が多々あった。
そんな経験を積んできているせいか、
私はドキッとした。
『物が無い=私のせい』
そういう構図が、自分の中で出来上がってしまっているのだ。
でも私は、かすかな記憶があった。
あの緊張した気持ち・・・
あれはさかのぼる事、更に一ヶ月前。
私は電気屋さんで買いたいものがあったので夫に相談した。
そうしたら夫はその電気屋さんのクレジットカードを渡してくれた。
ポイントを付ける為に。
私は、"これは絶対に失くしてはいけない!"と、常に気を付けていた。
そして帰ってきてからも、
"これを失くしたら私の信用は全くなくなる。それだけは阻止したい。
他の物事に気を取られる前に、元の位置へ戻さなくては!"
と、気を張っていた。
しかし、数分前に言われたことすら忘れてしまう事が多い私。
そんな一ヶ月も前のことなど、はっきりと覚えている訳がない。
私はかすかな記憶を胸に、
「一ヶ月くらい前に貸してもらったけど、"絶対にこれだけは失くしちゃいけない"って思って、帰ってきてすぐに戻したと思う。多分・・・」
と応えた。
しかし、不安は残った。
でも確実なのは、『私の手元には無かった』ことだ。
夫は私を疑いなからも必死に探していた。
私は思い当たる場所なんて財布の中くらいしかないので、それ以上は何もできなかった。
それから3日後、
夫がある時、「まさかここにあるなんてことはないよなぁ・・・」と言いながら、
パソコンの横に乱雑に置かれている書類をかき分けた・・・
!!!!!!!!!!
あったのだ!
その書類達のなかに紛れて、クレジットカードが!!!
そして、その書類置場の常用者は、私だ・・・
私はそれを見た瞬間、
"もう終わった・・・"
と思った。
そして、
"あんなに気を付けていたはずなのに、どうしてそこに・・・"
自分で自分が信用できなくなった。
情けなかった。
夫は私を責めなかった。
でも、私は自分で自分を責めた。
そして、夫から無言で責められているのでは・・・?と思った。
夜、子供達と寝ていると、涙がこみ上げてきた。
"一生懸命頑張ろうとしているのだけれど、どうしてもできない自分"
"そんな大切な物も管理できない情けない自分"
"もうどうしていいのか分からない。どうやって生きていけばいいのか分からない。"
泣いているうちに、いつの間にか子供の頃の自分になっていた。
「あなたはしっかり管理ができていない。」
「物は元の位置に戻しなさいって言ってるでしょ。」
「どうしてそんな簡単な事できないの?」
「どうしていつもそうなの?」
「注意が欠けているからそうなるの。」
母の言葉がよみがえってきた。
私、一生懸命やろうとしてるんだけど、どうしてもこうなっちゃうの。
頑張ってるんだよ。でも、どうしてもちゃんとできないの。
私もどうしたらいいかわからないんだよ。
好きで失くしてるんじゃない。
失くさないように、一生懸命注意してみるんだけど、できないんだよー
簡単って、私にとっては結構難しいよ
しゃくりあげるほどに泣けてきた。
私は夫に知ってほしかった、助けてほしかった。
こんな私を。
だから、布団から出てリビングでくつろいでいる夫の元へ行った。
そして、
気を付けていたはずなのに、きちんと元の場所へ返せなかったことを謝り、
一生懸命、忘れないように、注意できるように頑張っているんだけど、やっぱりできないこと
それが元で子供の頃にたくさん叱られて悲しい思いをいっぱいしたこと
泣いて、しゃくりあげて・・・
今感じている自分の気持ちの全てを言った。
自分で子供の頃に感じた悔しい、悲しい、切ない思いを出し切った。
夫は
「大丈夫だよ。もういいから。」
そう言って私を受け入れてくれた。
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